シートカバーの事業を開始し、製品を作っていく際、「どういうブランド名」で「どういった分野へ」商品をつくっていこうかと考えました。2000年の頃です。
既に、車雑誌を読んでも、アフターパーツとしてのシートカバーはいくつか存在していました。
そんな中、雑誌をパラパラめくっていて、ふと気づいたことがありました。
それは、この市場には「男性向け」の商品しか存在していないということです。
シートのカラーですが、一番多いのは「ブラック一色」。他にも、ブラック×レッド、ブラック×イエロー、ブラック×ブルー、など。
どうもこれ、男性目線でつくられているものばかりだなと感じました。
小学校の頃からサンリオ好きだった僕は、それに違和感を感じていました。
2002年のある日、新聞を読んでいたとき、衝撃が走りました。
カワイイ!!
スズキから、「ラパン」という軽自動車が登場したんです。すぐにスズキディーラーさんへ見に行きました。
純正のボディカラーも、いままでにないパステルカラーが勢ぞろいしています!
「これだ!」
ここで気づきました。ボディの色がパステルで沢山出たということは、完全に女性向けに絞った車だったのです。
お金も無いのに、ピンクのラパンを即決で買いました。
人生には何度か、勝負をかける瞬間があります。まさにそのタイミングだという直感がありましたので、上の画像にある新聞は保存版で大切に保管しています。
一方、純正インテリアはそこまでカラーが選べません。そこで、ラパンにターゲットを絞り、これまで無かったパステルカラーのレザーを大量に仕入れ、勝負に出ました。
つまり、ここを機に、女性にもかわいいと思って選んでもらえる、シートを作ろうと思いました。
そして、屋号も決めました。「ユアブランド」です。
市販の商品にはシートにブランド名のネームタグがついていますが、僕にはそれが良いと思ったことがありません。
ブランド=焼印 が言葉の語源です。例えばハーレーくらいに、ファンがタトゥーを入れるほどのものは、ブランドとして素晴らしいと思うのですが、そこまでのブランドってなかなかありません。駆け出しの僕がそのようなブランドを名乗るなど恐れ多いと思いました。色々考えましたが、そもそも、ブランドって言うのは、「お客様の心の中に」置かれるものじゃないかという結論になりました。
弊社で行う事業は、「お客様一人一人のご要望どおりに」「あなただけの」カーインテリアをおつくりする事業です。
「そうだ!「あなたのブランド」=「ユアブランド」だ。」
ということで、ユアブランドという名前を決め、 y-brand.com というドメインを取得し、事業を開始しました。
ラパンと同じタイミングで打ち出したパステルシートの戦略は当たり、ラパンを機にネット上の掲示板などで、弊社のシートがだんだん話題になり、口コミが生まれてきました。
今はまだ、ネームタグなどは使用していません。いつか自社に、ブランドとして認めていただけたと思えた時点で、自信を持ってブランドネームを打ち出せる日がくると信じています。
2016年現在、ラパンのオーナーさんって9割女性だそうです。ここまで狙った車作りもすごいなって思います。
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