上の画像は、今コンビニ等で販売されている「ウイダーインゼリー」の商品です。
<1.ウイダーインゼリーVer.1>
今日、面白い記事、事例を発見したので、感じたことを書いてみます。
まずこちらを読んでみてください。
みんなご存知、ウイダーインゼリーです。
セブンイレブン内の商品やユニクロ、ヤンマーなど、ブランディングを整えることで企業価値を高めることで一躍有名になった、佐藤可士和さん。
その佐藤さんが数年前、ウイダーインゼリーへのてこ入れで、パッケージデザインを一新していました。
<2.ウイダーインゼリーVer.2(佐藤可士和氏)>
変更後のパッケージは上のものです。
一見、「スマートで全商品が整っており、陳列していても綺麗に見える」美しいパッケージ群になっています。
また、前のものと比べると、ゴールドは新規のラインナップのようです。
企業側の意図としては「機能性をPRした新機軸を立て訴求したい」
ということだったようです。
・・・しかし、パッケージを一新してから、売り上げが落ちてしまったようです。
そしてこちら。
<3.ウイダーインゼリーVer.3(佐藤可士和氏)>
売り上げ減に伴い、こちらのパッケージに「戻した」とネットの記事には書かれています。
でもちょっとまってください。
よく、1,2,3を比べてみてください。「戻して」はいません。
むしろ2のパッケージのチューンナップ(調整)をしています、これは。
1→2→3を比べてわかることがあります。
1から2へは、佐藤さんがセブンイレブンなんかでよく行っている、「商品群をスマートに見せて企業イメージをあげるブランディング」を行っているんだと思います。
それは、色のトーンを落とすことで、統一感を持たせていることからわかります。
「もうウイダーインゼリーは市場に浸透しているから、お客さんは色で自分の買う商品を決めているだろうし、おしゃれな英語表記でもいいだろう。色も薄くていいだろう」
「カロリーハーフ、プロテイン入りなど、より機能性を訴求して機能を知って、買ってもらおう」
という判断が見て取れます。
しかし!これで売り上げが落ちてしまいます。
その後に3のパッケージに変え、「前2016年3月期の売り上げは対前年で2割近く増加した」そうです。
2から3への変化で気づくことは
・日本語表記の復活
・色のトーンを再度濃いものに戻した
ところです。
つまり、「売り上げが落ちた」ということは「顧客が迷った」「他の類似商品へ移った」「ウイダー・・はそこまでのブランド力は無かった(他製品と比べて)」という点ではないかと思います。もしくは「ウイダー」表記より「in」でブランディングしたい企業側に対して「ウイダー」表記が無いので気づかないウイダーインゼリー客 という不一致かもしれません。
ブランド力に関しては、「リポビタンD」に対して「Redbull」「MONSTER」なんかを比較すると参考になります。
僕としてはいっそ割り切って、1のデザインそのままに半年くらい戻してみて、「もっとも売れる」パッケージの再選定をしてみては?とも思うのですが、それだとデザイナーさんを使った意味がなくなるのでそこまではしないかもしれません。
デザインは難しいですね。「綺麗」「整っている」以上に「売れる」デザインでないと存続できないのですから。
佐藤可士和さんに関しては、セブンイレブンのコーヒードリッパーのデザインを観衆されまして、表記がわかりにくいとネットでもかなり批評されていました。あのドリッパー表記もその後チューニングされてわかりやすく代わっていっています。
今回も、もし佐藤さんがNo3のデザイン再考に関わっておられたのなら「商品群の綺麗なデザイン統一」+「企業側の訴求したい機能性」をベストマッチさせた成果で、僕はすばらしい仕事だと思います。
今回、森永製菓という巨大企業が、「中身は(ほぼ)同じだけどもパッケージで売り上げを上げれるのか」という壮大な実験をしてくれ、巣晴らしい教訓をタダで僕たちに与えてくれました。
こういうように、いろんな会社のチャレンジを冷静に見つめて検証することで、自社の事業に生かすことができます。
私的に、あと一つ思うのは「ウイダー」っていう日本語一言が抜けてしまってるのが売り上げが100%回復しない一番の原因じゃないかと思いますが、気のせいでしょうか。
「ウイダーインゼリー」はたぶん日本人みんな知っていると思いますが「in」だけだとわかんない気がします。
とくに類似商品が増えていますので固定客は「あれ?最近セブンにウイダーインゼリー置いてないな」と思っているかもしれません。みんな急いでいるから「コンビニ」に来るわけですし。
売れる、売れないって意外とこういった顧客目線の普通の行動を追うことからきているんじゃないかと感じた次第です。
現場に出る、顧客の声を聞かないとわからないことって多いです。
追記
その後、もう少し調べてみました。するとFacebookでこんなページが出てきました。
どうも、「in」というマークでお菓子含め商品群を整えていっている最中のようです。
引き続き目が離せません。
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